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市川の家

森に臨むコートハウス

 敷地は郊外の標準的な住宅地ですが、敷地の北側が保存緑地になっていて、人の立ち入らない雑木林が残っています。それを眺めながら静かに読書を楽しみたいというのが奥様の最初の要望でした。一方でご主人は料理を趣味としていて、友人を大勢呼んで中庭でバーベキューを楽しみたいというのが一番の希望でした。
 静かに緑陰を味わう場所と、賑やかに食を楽しむ場所という、一見相反する空間でありながら、リビングの床を80㎝ほど高くすることで、ダイニングスペースとは明確に区別されながらも二つの空間が緩やかにつながり、それぞれに自分の空間を損なうことなくお互いの雰囲気をも味わうことが出来ます。
 庭を使った遊びや、緑の風景など外部と積極的に交流を持つ家でありながらも、プライバシーを確保するために、道路側はあえて閉鎖的な表情として、中庭を囲むコートハウスの配置としました。そして、家のどこからでも北側の緑が見通せるプランとすることで、常に外を感じることの出来る開放感に満ちた住宅となっています。

撮影:黒住直臣